精神疾患の本質は”自己不信”

 昨日はシュタゲ・ネタを書いたあと、d アニメストア for amazon prime videoで、シュタインズ・ゲート・ゼロを一気観しました。いろいろな伏線が回収されて、気持ちよく終わりましたね。特に、シュタゲ無印でチラ見えしていた、まゆしぃが荒野にいるヴィジョンの件が解決して胸アツです。

 さて、シュタゲ・ゼロを観て触発されたので、本業の心理カウンセラーとしての視点とからめて、記事を書こうと思います。

 ちょっと、シュタゲのネタバレにもなってしまうので、先に観てしまったほうがよいかなとは思いますが。

 この私的考察(ブログ)では、音楽やオカルトみたいな話も書いていますが、アナリティクスやサーチコンソールで、読者さんが来訪した検索ワードや、各記事の滞在時間などを分析すると、心理関係の記事に、読者さんのコミットメントが強いのです。真剣に読んでくれているのですね。

 なので、やはり、心魔道士の本業の心理学や精神疾患の話は、気合を入れて書かないといけないですね。

○ 死んだように生きている”おかりん”

 岡部倫太郎(鳳凰院凶真)は、牧瀬紅莉栖を救える代わりにまゆしぃが死んでしまうα世界線から、牧瀬紅莉栖が死んでしまう代わりにまゆしぃが生きていられるβ世界線に移動してきました。

 しかし、牧瀬紅莉栖を救わなかったことで、自分に嘘をつき続け、その結果、マッド・サイエンティストの鳳凰院凶真は死んでしまい、岡部倫太郎は”常識的”な大学生として生きています。

 そうして、一見すると平和に生きているおかりんでしたが、心のなかでは、どこかが死んでいます。

 前回のシュタゲ記事で、オフシャル髭男ディズムの pretender という曲を紹介しましたが、この”死んだように生きている”、”生きているふりをしているだけで心は死んでいる”という状態は、もうひとつ有名なジャクソン・ブラウンの the pretender を思い起こさせます。

 歌詞については、ざっくりこちらの方のWEBサイトをご参考に。ただし、市販されている日本盤アルバムに同封されている和訳の方が、正確かつ本質的です。対訳を書いたのは、山本さゆりさんという高名な方です。できれば、アルバムを買って、そちらを読んだほうがよいでしょう。

 ちょっとだけ引用しましょう。

神様、救ってください

僕のように、本当の自分を偽って生きている者を

そう、若く活力みなぎる頃は元気よく出発したというのに、

結局はあきらめてしまった僕のような者を

 そうです、おかりんは、本当はどうやってでも牧瀬紅莉栖を助けたいのに、そんな自分の心を偽って、まゆしぃの命を救うためだと言い聞かせ、戦いをあきらめてしまい、その結果、活力を失って、死んだように生きているのです。

 鳳凰院凶真は、岡部倫太郎の愛と不撓不屈の精神の顕現です。おかりんは真正の中二病ではなく、鳳凰院凶真を自分の意識で出したり引っ込めたりできるのです。そもそも、鳳凰院凶真は、まゆしぃの心を救うために生み出された他愛的な人格なのですからね。

 鳳凰院凶真が復活したとき、視聴者が歓喜するのは、そういうことですよね。

○ 自分に嘘をつくと、自分を信じられなくなる

 本当の自分に嘘をつくと、自分を信じられなくなります。当たり前ですね? あなたは嘘つきを信じませんよね?

 自分を信じられない・・・自己不信です。

 本当の自分を封印することで、本来の精神的な活力は失われます。

 そして、自己不信は負の連鎖を起こして、どんどんと自尊心・自己肯定感を侵食していきます。

 自分を信じられなくなると、他人も信じられなくなります。他者認知は、自身の内的世界の”投影”だからです。自分=人間=信じられないもの → 他人=人間=信じられないもの、という論理で、自己不信は他者不信に容易に転換されます。

 精神疾患を洞察するには、ほぼ、この一点だけを集中して分析すれば簡単です。

 患者さんの、他者不信の影、その源となっている自己不信の影を、分析して洞察すればよいのです。

 そして、自己不信の源となっている、患者さんが自分自身の心に対して偽っている嘘を見つけ出して、自分の心に嘘をつくのをやめさせれば、治療は完了です。

 簡単でしょう?

○ やることは簡単だが・・・

 精神疾患を治すためにやることはシンプルです。

 しかし、実行は難しいです。

 患者さんは、他者不信を身にまとって弱った精神を防衛しているため、カウンセラーを容易には近づけさせません。カウンセラーのところに依頼をしている時点で、ある程度の信頼の芽は出ていますが、それは十分に育っておらず、まだまだ弱々しいのです。

 他者不信の出どころになっている自己不信は、自分の心を偽ってきた結果ですが、患者さんには自分の心を偽らざるを得なかった事情があります。

 おかりんのように、自分の心を偽った方が ”平和” に生きていけるのです。不幸にも、そのような葛藤的環境に置かれていた(あるいは、現状も置かれている)のが、精神疾患の方の悲しいところです。

 カウンセラーは、ある意味、患者さんの”心の平和”をかき乱す悪魔にもなり得ます。悪魔になる覚悟がない人間は、カウンセラーになる資格はないです。

 カウンセラーは、患者さんの”抵抗”・・・他者不信の壁、自己不信の暗闇、偽りの平和の誘惑を、叩き壊す覚悟を持たなければなりません(できるだけ穏便に壊すのですがね・・・)。

 優しく話を聴くだけで、カウンセラーの仕事ができていると思ったら、大間違いです。

○ カウンセラーの資質 自己信頼と他者信頼

 抵抗を突破するのに、決まった方法はないです。

 患者さん一人ひとりに対して、行き当たりばったりで戦うしかないです。(平井孝男先生は”良質の出たとこ勝負”とおっしゃられています)

 つまり、やればできると信じることです。

 それは、自分ならやればできると信じることであり、患者さんに対して、この人ならやればできると信じることです。

 他者不信・自己不信と徹底的に戦い、自分と患者さんを信じ続ける不撓不屈の信念を持っているかが、最終的なカウンセラーの能力を決めます。

 話術や理論は、患者さんが自己不信・他者不信にカウンセラーを”巻き込もう”としてくるのを見破り、躱し、カウンターを打つのに役立ちますが、技の前に理がなければ、真の意味で技を使いこなすことはできません。

 技が通用しなければ、ぶん殴られながら、前に進めばそれでよい。倒れなければ、最終的には勝てるからです。

 心魔道士は決して倒れませんが、問題なのは、患者さんの側が離脱することです。可能な限り、患者さんの信念の力のレベルを観察しながら、侵襲的にならないように、じりじりと前進しますが、ときに失敗も有りえます。特に精神病質の患者さんはセンシティブで、押し引きの加減が難しいです。

 最悪の場合、自殺という形で離脱されることもあります。これは、カウンセラーに自己不信と他者不信を植え付ける最凶の戦略ですが、限界設定によって対処します。自殺を試みた場合、入院と投薬で心を持ち直させる約束をしておくのです。限界設定すら成立しない人は、まず先に、とにかく精神科を受診して、投薬で自我の強度を回復させていただきたいです。あるいは、問答無用でリラクゼーションを受けて、自分をいたわることをお勧めします。

 仮に離脱されても、心魔道士は気にしません。捨て台詞を吐いて患者さんが離脱しても、それまでのカウンセリングは無駄にはなりません。また、前払いで金を受け取っているので、経営的なダメージはありません。20年後ぐらいに戻ってくるかもしれませんしね。

 自殺されても、心魔道士は気にしません。一人死んだら、しまったな、ミスったなとは思いますが、それで自己不信に陥ったりはしません。カウンセリングでは、死んだように平和に生きるか、本当の自分として生きるために死ぬ気で戦うか、そういう勝負をしているのです。生死の境を行くのは元より承知の上です。一人死んだら、代わりに三人救うノルマを、自分に課すことにしましょう。

○ 私は、あなた以上に、あなたを信じている

 なんだか、恐ろしい話をしてしまったようですが、実際のカウンセリングは、表面的には、そんなに切羽詰まった感じにはなりませんよ。

 ユーモアは、人間の最大の武器です。カウンセリングは、ユーモアを交えて行っていきます。ある意味、患者さんにユーモアのセンスを身に着けてもらえば、治療は成功しますね。humourは、humanと語が似ていることからわかるように、人間性の本質なのです。

 一月4500円、一日150円を払って、私に、あなたの悲惨な身の上を聞かせてください。代わりに、もっと悲惨な話を教えてあげられますからね。ネタが尽きたら、一緒に、悲惨な話収集ゲームでもやりましょう。古今東西の悲惨な話と、人類がそれにどう対処したかの事例を集めるんですよ。非常に効果的な心理ワークアウトになります。

 そして、私は、あなたがどんなに悲惨な状況からも立ち上がることを、全面的に信じているので、安心してください。あなたが立ち上がるまで、一生でも、カウンセリングを続けますからね。

 では、相談依頼のページから、ご連絡を。

yours truly, for awareness and wellness.